事業拡大フェーズにおけるCAC高騰に関する考え方についてご紹介しますのでtoBマーケやインサイド領域に関わる方は是非ご覧下さい。
※前提CACというのは事業スケールに伴って維持するだけでも難しく、拡大に伴って段々悪化していくものです(CAC悪化は事業計画に盛り込む必要がございます。)
よく事業拡大を目指しているのにCPAやCACを安く考えている・抑えようとしているマーケ担当や営業責任者がいますが、「マーケチャネルの拡張(特にペイド施策)・競合企業の増加・ターゲット顧客の定義緩和・商談化の定義緩和」に伴って安くなるはずがありません。PMF前後に行っていたリファラルや代表経由の商談化/受注、数少ないオーガニック流入、自社メンバーの人件費を獲得したアポ数/商談数で割って安価なCPAで感げてしまう担当者が多くいるのが現実です。何度も言いますが、事業拡大に伴ってCACやCPAを維持するだけでもかなり難易度が高く、拡大に伴って段々と悪化していくことを理解して下さい。
下記は最悪なケースです。
例)
規模:300名以上
役職:部長以上
条件:契約書締結件数月50件以上で、半年以内に導入可能性が見込める企業
金額:CPA35,000円
どこの部分が最悪かと言いますと、もちろん提供するサービスやアプローチ先の規模感、単価やLTVによって変わってきますが、「レイヤー・温度感(特にニーズ)」の2点において条件設定が厳しい点です。合わせて金額も1商談あたりのCPAが3.5万円というのは正直リード獲得単価レベルの単価です。
そもそもミッドマーケット以上で役職が部長以上、足切り条件が厳しくニーズが顕在化している企業を3.5万円で獲得?3.5万円の抽出ロジックは?現在実施しているマーケ施策でこの数値で獲得出来ている施策ありますか?3.5万円ってリード獲得単価でも難しい金額感です。こんな設定をしているSaaS企業が多過ぎるのが事実です。こんなことしていたらそもそも接点すら獲得出来ず、提案機会も来ませんし、提案の土台にも上がれません。
そもそも未接点の白地状態から受注に至るまでのセールスプロセスというか、カスタマージャーニーを理解しておっしゃってますか?ということです。【白地→プレリード→リード→オプトイン→電話アポ→アポイント→商談化→パイプ化→受注】
下記は理想系です。
例)
規模:100〜499名
役職:意思決定者が理想ではあるものの、推進者、情報提供者、協力者、現場担当者も可
条件:契約書締結件数月10件未満はNG(前提ターゲット顧客であること)
金額:CPA35,000〜50,000円(意思決定者の場合は50,000円など)
事業拡大フェーズに伴って、アプローチの規模感や役職、条件や金額などが調整されているのが分かりますよね。
商談化の定義を設定する際には「ターゲット顧客・期待収益が大きい・温度感はそこまで高まっていないのでFSの力を活用する必要がある」といった定義にすることで接点数を減らさずに且つ未接点顧客を取りこぼさずに顧客獲得を推進することが出来ます。
まずは事業フェーズに応じて最適な商談化の定義を設定すること(ターゲット顧客ではあるものの温度感がそこまで温まっていない)。その上で初回商談におけるFSの戦略的ヒアリング力や提案力、クロージング力を備えて、初回商談後の転換率改善を図っていくこと。そうすることで拡大に伴ってチャネルを拡張したとしても安定的に未接点顧客とのパイプライン〜受注を生み出すことができ、事業成長に繋げることが出来ます。
①顧客獲得チャネルの拡張
初期フェーズは代表の繋がりやリファラル、オーガニックのみ受注出来ていても事業フェーズが進んでいく中でチャネル(広告・BDR)を拡張する必要が出てくる。顧客数を拡大する中で獲得効率の悪い施策も使うことになる。
②競合企業の増加
競合企業の参入が相次ぎ、コンペで競合に勝つためにマーケコスト・営業コスト・顧客維持コストが上がる。またリードタイムの長期化や受注率も一定低下する。
③ターゲット顧客の定義が広がる
初期フェーズは自社サービスの強みと適合性が高い顧客層に売れるが、スケールするためには適合性が低い顧客層にも売らなくてはならないフェーズがくる。
LTVがある程度確保出来ていれば実施出来るマーケティング施策の幅も広がるわけで、それこそ初回接点獲得時のCPAはそれなりに高くなってしまったとしても、自社でどうしても獲得したいターゲット顧客であればROIを合わせにいく動きをするべきではないでしょうか?(CPA下げても受注に至らなかったら全く意味がありません。)
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